公開日 2026年9月3日 / 最終更新 2026年9月3日
「岐阜の家は、これから売れなくなるのか」——不動産の売却を考えるとき、最後にひっかかるのはこの問いです。この記事では、岐阜県と42市町村の人口・世帯・高齢化・空き家を公的統計だけで並べました。結論から言うと、県全体の数字よりも「どの市町村か」のほうがはるかに大きく効きます。
岐阜県の人口は2015年10月1日の2,031,903人から、2025年10月1日には1,891,489人になりました。 差は140,414人、率にして-6.9%です。10年で岐阜市の3分の1にあたる人数がいなくなった計算になります。
減り方は一定ではありません。2015年の年間減少は9,787人でしたが、2021年に18,281人、2025年には21,587人へと加速しています。 「じわじわ減る」段階から「毎年2万人ずつ減る」段階に入っている、というのが直近10年の要点です。
人口の増減は「自然動態(出生−死亡)」と「社会動態(転入−転出)」の2つに分けて見ます。岐阜県の2025年はこの2つの向きが逆でした。
出生と死亡の差=自然増減、転入と転出の差=社会増減。単位は人。
| 区分 | 出生/転入 | 死亡/転出 | 差引 |
|---|---|---|---|
| 自然動態 | 9,910 | 26,663 | -16,753 |
| 社会動態 | 73,428 | 72,554 | +874 |
出生9,910人に対して死亡26,663人で、自然増減は-16,753人。 一方、転入73,428人に対して転出72,554人で、社会増減は+874人です。 人口流出が止まらない県、というイメージとは実態が違います。
自然減が深くなっている主因は死亡数の増加ではなく、出生数の急減です。2013年に16,458人だった出生数は、2025年に9,910人。 12年で39.8%減りました。同じ期間に死亡数は21,877人から26,663人へ21.9%増えています。 出生の減少幅のほうがはるかに大きく、これは短期の政策で反転する類の数字ではありません。
不動産の観点で言えば、「買い手になる世代の人数」が確実に減っていくということです。 いま売りにくい物件は、5年後にもっと売りにくくなります。
住宅の需要は人口ではなく世帯数で決まります。そして岐阜県の世帯数は、この10年で増え続けてきました。
左の目盛りは人口(万人)、世帯数は同じ図に重ねて描くと形が見えないため、下の表で確認してください。
| 年 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 人口(人) | 2,031,903 | 2,022,785 | 2,010,698 | 1,999,406 | 1,988,931 | 1,978,742 | 1,960,461 | 1,945,350 | 1,929,669 | 1,913,076 | 1,891,489 |
| 世帯数(世帯) | 753,212 | 758,627 | 763,144 | 767,744 | 774,484 | 780,730 | 782,431 | 787,813 | 792,325 | 797,299 | 792,017 |
出典:岐阜県「人口・世帯数月報」(推計人口・世帯数の推移)。各年10月1日現在。2025年は令和7年国勢調査の速報値を基準とした数値。
2015年の753,212世帯から2025年の792,017世帯へ、38,805世帯(+5.2%)増えています。 人口が-6.9%なのに世帯が+5.2%というねじれは、1世帯あたりの人数が2.70人から2.39人へ小さくなったためです。 単身世帯と高齢者のみの世帯が増えると、同じ人口でも必要な住宅の数は増えます。
ただしこれは永久には続きません。2025年の世帯数は前年から5,282世帯減っており、 10年で初めて世帯数が減少に転じた年になりました(2025年の数値は令和7年国勢調査の速報値を基準としているため、基準替えの影響を含みます)。世帯数が頭打ちになれば、住宅需要は人口の動きに素直に従うようになります。
県全体の-6.9%という数字は、個別の物件を考えるうえではあまり役に立ちません。同じ岐阜県内でも、増えている自治体と2割近く減った自治体が同居しているためです。
2020年国勢調査の人口を起点に、2026年7月1日現在の推計人口までの増減率。プラスは4市町村だけです。
| 市町村 | 2020年(人) | 2026年7月(人) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 富加町 | 5,626 | 5,749 | +2.2% |
| 岐南町 | 25,881 | 26,160 | +1.1% |
| 北方町 | 18,139 | 18,244 | +0.6% |
| 瑞穂市 | 56,388 | 56,583 | +0.3% |
| 美濃加茂市 | 56,689 | 56,658 | -0.1% |
| 坂祝町 | 8,071 | 8,043 | -0.3% |
| 笠松町 | 22,208 | 21,788 | -1.9% |
| 羽島市 | 65,649 | 64,110 | -2.3% |
| 白川村 | 1,511 | 1,473 | -2.5% |
| 大垣市 | 158,286 | 153,997 | -2.7% |
| 各務原市 | 144,521 | 140,447 | -2.8% |
| 可児市 | 99,968 | 96,971 | -3.0% |
| 安八町 | 14,355 | 13,843 | -3.6% |
| 岐阜市 | 402,557 | 388,113 | -3.6% |
| 本巣市 | 32,928 | 31,453 | -4.5% |
| 多治見市 | 106,732 | 100,642 | -5.7% |
| 関市 | 85,283 | 80,188 | -6.0% |
| 神戸町 | 18,585 | 17,399 | -6.4% |
| 瑞浪市 | 37,150 | 34,748 | -6.5% |
| 垂井町 | 26,402 | 24,677 | -6.5% |
| 御嵩町 | 17,516 | 16,325 | -6.8% |
| 高山市 | 84,419 | 78,511 | -7.0% |
| 川辺町 | 9,860 | 9,144 | -7.3% |
| 大野町 | 22,041 | 20,266 | -8.1% |
| 中津川市 | 76,570 | 70,133 | -8.4% |
| 土岐市 | 55,348 | 50,615 | -8.6% |
| 輪之内町 | 9,654 | 8,814 | -8.7% |
| 池田町 | 23,360 | 21,307 | -8.8% |
| 山県市 | 25,280 | 23,006 | -9.0% |
| 美濃市 | 19,247 | 17,394 | -9.6% |
| 恵那市 | 47,774 | 43,164 | -9.6% |
| 海津市 | 32,735 | 29,570 | -9.7% |
| 飛騨市 | 22,538 | 20,140 | -10.6% |
| 郡上市 | 38,997 | 34,814 | -10.7% |
| 養老町 | 26,882 | 23,937 | -11.0% |
| 八百津町 | 10,195 | 9,071 | -11.0% |
| 下呂市 | 30,428 | 26,838 | -11.8% |
| 揖斐川町 | 19,529 | 17,045 | -12.7% |
| 東白川村 | 2,016 | 1,743 | -13.5% |
| 関ケ原町 | 6,610 | 5,701 | -13.8% |
| 白川町 | 7,412 | 6,249 | -15.7% |
| 七宗町 | 3,402 | 2,784 | -18.2% |
出典:令和2年国勢調査(社人研公表の市区町村別基準人口)/岐阜県「人口・世帯数月報」(令和8年7月1日現在)
増えたのは富加町(+2.2%)・岐南町(+1.1%)・北方町(+0.6%)・瑞穂市(+0.3%)の4市町村だけです。 いずれも面積が小さく、岐阜市・関市・美濃加茂市といった雇用のある都市に接しています。 「小さくて、平坦で、隣が仕事のある街」という条件が、いまの岐阜県で人口を保つ条件になっています。
逆に大きく減ったのは七宗町(-18.2%)・白川町(-15.7%)・関ケ原町(-13.8%)・東白川村(-13.5%)で、 山間部と、鉄道はあっても雇用が少ない町が並びます。県内の幅は20ポイント以上あり、 県平均を自分の物件に当てはめると判断を誤ります。
高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)は、相続と空き家がどのくらいの速さで発生するかの目安になります。
総人口に占める65歳以上の割合。最も低い瑞穂市(22.0%)と最も高い白川町(50.7%)で28.7ポイントの開きがあります。
| 市町村 | 高齢化率(2025年) | 高齢化率(2050年) |
|---|---|---|
| 白川町 | 50.7% | 63.4% |
| 七宗町 | 49.2% | 58.4% |
| 東白川村 | 47.2% | 58.1% |
| 下呂市 | 43.6% | 54.2% |
| 関ケ原町 | 43.1% | 55.1% |
| 八百津町 | 43.0% | 51.8% |
| 飛騨市 | 42.1% | 53.2% |
| 揖斐川町 | 41.8% | 55.1% |
| 郡上市 | 40.4% | 51.7% |
| 山県市 | 39.2% | 49.8% |
| 美濃市 | 38.5% | 45.8% |
| 恵那市 | 38.0% | 47.7% |
| 海津市 | 38.0% | 52.4% |
| 養老町 | 37.6% | 52.5% |
| 高山市 | 35.5% | 45.8% |
| 白川村 | 34.4% | 34.7% |
| 御嵩町 | 34.2% | 40.8% |
| 多治見市 | 34.1% | 45.0% |
| 神戸町 | 34.1% | 44.1% |
| 中津川市 | 34.0% | 42.2% |
| 土岐市 | 33.6% | 42.8% |
| 富加町 | 33.5% | 39.3% |
| 川辺町 | 33.4% | 41.0% |
| 瑞浪市 | 33.0% | 43.7% |
| 関市 | 32.9% | 43.6% |
| 垂井町 | 32.9% | 42.4% |
| 池田町 | 32.6% | 45.8% |
| 本巣市 | 32.3% | 41.6% |
| 大野町 | 32.3% | 46.0% |
| 岐阜市 | 30.6% | 39.0% |
| 坂祝町 | 30.6% | 37.7% |
| 安八町 | 30.5% | 42.5% |
| 可児市 | 29.5% | 38.3% |
| 各務原市 | 29.2% | 36.8% |
| 羽島市 | 29.0% | 39.2% |
| 大垣市 | 28.5% | 36.9% |
| 笠松町 | 28.3% | 36.3% |
| 輪之内町 | 28.2% | 39.8% |
| 北方町 | 26.5% | 37.3% |
| 美濃加茂市 | 24.4% | 33.0% |
| 岐南町 | 23.1% | 31.3% |
| 瑞穂市 | 22.0% | 31.5% |
最も低いのは瑞穂市の22.0%、最も高いのは白川町の50.7%。 白川町・七宗町・東白川村では住民の半数近くが65歳以上で、今後10年のあいだに相続が集中的に発生します。 相続が起きてから売り先を探す地域と、まだ時間のある地域では、準備の順番が変わります。
令和5年住宅・土地統計調査によると、岐阜県の住宅924,100戸のうち148,400戸が空き家で、空き家率は16.1%です。
住宅総数に占める空き家の割合。県全体は16.1%(924,100戸のうち148,400戸)。調査で市町村別の値が公表されているのは31市町村で、関ケ原町・輪之内町・安八町・坂祝町・富加町・川辺町・七宗町・八百津町・白川町・東白川村・白川村の11町村は公表がありません。
| 市町村 | 住宅総数(戸) | 空き家(戸) | 空き家率 |
|---|---|---|---|
| 揖斐川町 | 8,670 | 2,360 | 27.2% |
| 郡上市 | 19,280 | 4,870 | 25.3% |
| 中津川市 | 38,290 | 8,610 | 22.5% |
| 山県市 | 11,230 | 2,470 | 22.0% |
| 高山市 | 39,070 | 8,220 | 21.0% |
| 下呂市 | 13,500 | 2,660 | 19.7% |
| 恵那市 | 21,660 | 4,040 | 18.7% |
| 岐阜市 | 216,380 | 39,620 | 18.3% |
| 瑞浪市 | 16,740 | 2,940 | 17.6% |
| 飛騨市 | 10,110 | 1,720 | 17.0% |
| 関市 | 39,760 | 6,710 | 16.9% |
| 大垣市 | 74,330 | 12,320 | 16.6% |
| 美濃市 | 8,610 | 1,420 | 16.5% |
| 土岐市 | 25,190 | 3,990 | 15.8% |
| 笠松町 | 10,190 | 1,610 | 15.8% |
| 北方町 | 8,790 | 1,280 | 14.6% |
| 岐南町 | 12,200 | 1,700 | 13.9% |
| 御嵩町 | 7,820 | 1,080 | 13.8% |
| 垂井町 | 11,030 | 1,470 | 13.3% |
| 神戸町 | 7,740 | 1,030 | 13.3% |
| 美濃加茂市 | 25,510 | 3,380 | 13.2% |
| 養老町 | 9,970 | 1,300 | 13.0% |
| 瑞穂市 | 26,840 | 3,390 | 12.6% |
| 羽島市 | 28,720 | 3,600 | 12.5% |
| 各務原市 | 63,440 | 7,560 | 11.9% |
| 本巣市 | 13,010 | 1,440 | 11.1% |
| 池田町 | 9,020 | 990 | 11.0% |
| 多治見市 | 47,740 | 5,180 | 10.9% |
| 可児市 | 45,730 | 4,930 | 10.8% |
| 大野町 | 8,620 | 880 | 10.2% |
| 海津市 | 12,650 | 1,270 | 10.0% |
最も高いのは揖斐川町の27.2%で、住宅の4戸に1戸以上が空き家です。郡上市25.3%、中津川市22.5%、山県市22.0%、高山市21.0%と続きます。 最も低いのは海津市の10.0%、次いで可児市10.8%、多治見市10.9%です。 空き家率が高い地域では、売りに出したときの競合が多く、値がつきにくくなります。
国立社会保障・人口問題研究所の令和5年推計では、岐阜県の人口は2050年に1,468,392人まで減ると見込まれています。2020年比で-25.8%です。
2020年は国勢調査の実績値、2025年以降は社人研の推計値です。
| 年 | 2020 | 2025 | 2030 | 2035 | 2040 | 2045 | 2050 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 総人口(人) | 1,978,742 | 1,901,307 | 1,819,881 | 1,734,135 | 1,645,767 | 1,556,632 | 1,468,392 |
| 高齢化率 | 30.4% | 31.9% | 33.3% | 35.1% | 37.9% | 39.6% | 40.6% |
高齢化率は2020年の30.4%から2050年には40.6%へ。 県民の5人に2人が65歳以上になる社会が、いまから24年後に来るという推計です。 住宅を「いつか売る資産」として持ち続ける前提は、この期間には成り立ちにくくなります。
人口が増えている4市町村と、減少が3%以内にとどまる自治体(美濃加茂市・坂祝町・笠松町・羽島市など)は、いずれも岐阜市・名古屋方面への通勤圏にあります。 これらのエリアは仲介でも買い手が見つかりやすく、時間をかけて高値を狙う選択肢が残ります。
七宗町・白川町・東白川村・揖斐川町のように6年で1割以上減り、高齢化率が4割を超える地域では、 価格の問題ではなくそもそも買い手が現れるかどうかが論点になります。 仲介に出して1年反応がない、という結果になりやすいのはこの層です。
世帯が小さくなっているということは、大きな家の需要が減っているということです。 敷地が広く、築年数が古く、駅や幹線道路から遠い——この3つが重なると、価格を下げても動きません。 解体して土地にする、買い手の用途を広げる、といった別の手を早めに検討したほうが結果的に早く終わります。
空き家率が2割を超える地域では、売りに出す物件そのものが増え続けます。 後になるほど競合が増える構図なので、「とりあえず空き家のまま置いておく」は不利な選択になりやすいです。 加えて、住まなくなってから3年を超えると使えなくなる税制の特例もあります。
この記事の図3〜図5が示しているのは、県内の幅が20〜28ポイントあるという事実です。 県平均で考えると、岐阜地域の物件は不当に低く、山間部の物件は不当に高く見積もられます。 市況データと各エリアページで、その市町村の数字を確認してください。
岐阜県の人口は2015年の2,031,903人から2025年には1,891,489人になり、10年で140,414人(-6.9%)減りました。2025年の1年間では21,587人の減少です。
1世帯あたりの人数が減っているためです。岐阜県の世帯数は2015年の753,212世帯から2025年の792,017世帯へ38,805世帯(+5.2%)増えました。単身世帯と高齢者のみの世帯が増えると、人口が減っても世帯数は当面増えます。ただし住宅の需要は長期では人口に従います。
いいえ。2025年は転入73,428人に対して転出72,554人で、社会増減は+874人とプラスでした。同じ年の自然増減は-16,753人です。つまり岐阜県の人口減少は、いま起きている分についてはほぼ全部が自然減によるものです。
2020年の国勢調査から2026年7月までで人口が増えたのは、富加町(+2.2%)・岐南町(+1.1%)・北方町(+0.6%)・瑞穂市(+0.3%)の4市町村です。いずれも面積が小さく、岐阜市・関市・美濃加茂市といった雇用のある都市に隣接しています。
令和5年住宅・土地統計調査で市町村別の値が公表されている31市町村のうち、最も高いのは揖斐川町の27.2%、次いで郡上市25.3%、中津川市22.5%です。最も低いのは海津市の10.0%で、県全体は16.1%です。
出典:岐阜県「岐阜県の人口・世帯数月報」(推計人口・世帯数の推移/人口動態の推移/市町村別人口動態・令和8年7月1日現在)/国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」令和5(2023)年推計(結果表1・結果表3_3)/岐阜県「令和5年住宅・土地統計調査結果」(付表1・市町村表1)(2026年9月時点。数値は各機関の最新の公表内容をご確認ください)
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